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ななつ星 in 九州

JR九州 環境報告2017

第三者所感

 今年の報告でまず注目したのは、JR九州になって最初に作られた近郊型車両811系電車のリニューアルが図られ、旧国鉄時代から使われてきた415系電車に比べて49%の電力使用量となったことです。811系電車自体、415系より3割も電力使用量が少なかったのですが、とうとうその半分以下になったようです。
 低炭素・循環・生物共生の社会を目指し環境・経済・社会の統合的向上を図ろうという日本の環境政策の考え方は、国連の2030年に向けた持続可能な発展のための目標(SDGs)の考え方と方向を同じにしていますが、使える車両はリニューアルを重ねて有効利用するという鉄道の伝統的な循環型社会志向のやり方に、さらに低炭素社会を目指すことを加えようとしたJR九州の仕事ぶりは、日本いや世界の環境政策の方向から見ても、高く評価されます。さらに在来線軌道まくらぎのコンクリート製や合成まくらぎへの交換による長寿命化の努力が進み、2006年度からの交換本数の累計が36万3000本となったことは、乗り心地の改善などもさることながら、廃棄物発生量の大幅削減という面からは、循環型社会形成に大きく寄与しています。
 2016年度は熊本地震の影響をうけて、エネルギー消費原単位こそ、前年度から少し悪化しましたが、JR九州全体のエネルギー使用量は確実に減っており、その努力を評価します。また、行政や他業種との協力によるパークアンドライドの取り組みは、地域社会での貢献という意味でも大事な取り組みであり、筑紫野市でも始まったことにも注目したいです。この取り組みがもっと広がっていくといいなあ、と考えます。
 JR九州は、鉄道事業だけでなく多くの関連事業への取り組みによって地域社会へ貢献するとともに、企業としての経営の安定に努めていることは広く知られています。裁判所など法曹関係施設移転を核とする福岡市六本松地区の再開発は、旧教養部で学び、その後法律学を教えてきた私にとっては、とりわけ感慨深い事業です。この複合施設整備がJR九州の手で進められ、熱・エネルギー供給、水資源利用での環境配慮や屋上緑化など、新たな都市施設整備にあたって低炭素社会実現のために積極的な取り組みがされたと報告されており、読むと嬉しくなります。ここでの努力が、今後各都市で行われる再開発事業を大きく先導するものとなってほしいです。
 なお、細かい話ですが、コピー用紙の使用枚数削減については、多くの企業や行政組織で苦戦が続いていますが、JR九州本社での取り組みの報告は、苦戦を続けている企業や行政組織の参考にされてよい話だと思いました。また、今年の報告書にも地域での取り組みの紹介がありますが、熊本地区での金峰山植樹の活動が行われたという報告は、ここが漱石の「草枕」の舞台であることを思い出させてくれました。

2017年10月

福岡大学名誉教授・前中央環境審議会会長
浅野 直人