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九州新幹線全線開業STORY JR九州の「技術」が夢をかたちにするまで

SCENE 1
全線開業を成し遂げたプロフェッショナルたち
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SCENE 2
これからを創るプロフェッショナルたち
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SCENE 1全線開業を成し遂げたプロフェッショナルたち

平成23年3月12日に、鹿児島中央駅から博多駅までの全線開業を果たした九州新幹線。全線開業によって九州をひとつにつなぎ、
さらには日本の新幹線が鹿児島中央から大阪・東京までをも結ぶ大動脈となったその日までには、
越えなければならないハードルがいくつもあった。全社を挙げてのこの一大プロジェクトを成功に導いたストーリーの中から、
今回は技術系の「電気」、「施設」、「運輸」の部門のプロフェッショナルたちの姿にスポットを当てた。

STORY01

「列車制御システムで 安全走行へ導く」

  • 三浦泰久
  • 三浦泰久
    【電気】当時:電気部信号通信課 所属

「君には次に、新幹線の信号設備工事計画を担当してもらうから。」
上司にそう言われた時、正直とまどった。入社3年目。在来線の信号設備担当としてようやく一人前に近づいた時に、突然「文化も言語も違う国へ行け」と命ぜられたような気持ちになった。
しかし、担当となったからには立ち止まっているわけにはいかない。まず、暫定開業していた新八代~鹿児島中央間の建設に関係する資料を読むことから始めた。全部で段ボール20箱分くらいあった。約1か月間、むさぼるように読んだ。
「全線開業すれば、九州新幹線は東海道・山陽新幹線につながる日本の大動脈になる。しかし、そのような大規模工事に関わる事業は当社にとって初のことで、経験も少なく、何もかもが手探り状態でした。入社3年目にして責任ある事業に抜擢してもらったという喜びもありましたが、その分プレッシャーも大きく、24時間新幹線のことで頭がいっぱい。家人の話では、寝言で『信号が…』『速度データが…』と言っていたこともあったそうです(笑)」
また、信号システムの知識をより深めるために、新幹線事業の先輩であるJR東海・西日本の担当者やメーカーなどの担当者に、出稽古さながらレクチャーを頼んだりもした。懐に飛び込んで、リアルな情報を得ることの出来る「学び」の日々は、刺激的だった。

「信号というのは、
絶対に間違ってはならない世界。
大きな責任と共にやりがいを感じる挑戦でした」-三浦

PROFILE
三浦泰久(みうらやすひさ)
総合企画本部 経営企画部 主査。平成19~23年、九州新幹線全線開業に向けた信号設備の工事計画・他社調整等を担当

新幹線にも運転するための信号が必要。在来線では信号機を線路際に設置しているが高速運転する新幹線は、仮に信号機を見てブレーキをかけると、最高速度から停止するまでに4kmも走行するため、地上に設置した信号機では対応できない。そこで、自動列車制御装置“ATC(Automatic Train Control)”を採用している。九州新幹線では、車両性能や地上設備のデータを元に、最適な速度パターンを計算し、それにより列車を制御するシステムを車上に搭載しているのだ。
三浦のミッションは、「どこに、どのような曲線の速度制限があるのか、分岐器などの地上設備があるのか、車両の性能はどのようなものか」といった、必要な地上設備や車両性能をもれなく登録して、あらかじめ定められた速度で運転させることだ。情報を持つ運輸部や施設部といった社内の他部署との調整や、山陽新幹線との相互直通のためにJR他社との調整に翻弄した。

「走行試験で想定通りの時速が出た時は本当に安心しました。それまでの苦労が報われた思いでしたし、自分自身の自信になりました。走行試験を行っていたN700系のR-1編成は毎日のように一緒にいたので、まるで相棒のような感じでした。今でもホームでその姿を見かけると『元気か!』と、心の中で話しかけています(笑)」
「JR九州の技術の仕事は、メーカーとは異なり、最新技術を創り出すことだけが仕事ではありません。技術を『活かして』、自分たちのやりたいことを実現させる、そういったところにやりがいや醍醐味があると感じています」
九州を元気にしたいという熱い思いのもとに、オンリーワンが生まれ続けているのだ。

STORY02

「お客さまの日常を奪わずに、新幹線の線路を入れる――」

  • 稲吉秀亮
  • 稲吉秀亮
    【施設】当時:博多駅工事部 所属

全線開業7年前、入社4年目の若さで、博多駅工事部の在来線博多駅構内改良計画と新幹線高架設計を担当した。
新幹線プロジェクトに携わることは、稲吉にとって入社した時からの希望だった。「歴史に名を残すような大事業に関われる!」と、沸き立つような思いで業務にあたった。しかし、この業務は、リニューアルオープンする博多駅の設計・施工をしながら、同時に在来線と新幹線の線路をつくるという超難題。しかも、山陽新幹線との相互乗り入れに際してはJR西日本との数多くの調整が予測された。
「全てが挑戦でした。全線開業というスケジュールは決まっています。限られた時間でも、ひとつひとつを丁寧にこなしていくしかありません。まず、九州新幹線が博多駅に乗り入れるスペースを生み出すために、在来線を5面11線から4面9線に構内改良する必要がありました」
と、一言でいってもこれが容易なことではない。既に山陽新幹線が博多駅に乗り入れているJR西日本との協議事項は膨大で、連日会議が続いた。そして一番の問題は、在来線の運行を止めずに安全に工事を行わなければならないこと。お客さまの日常の足を奪うわけにはいかないのだ。そのため、工事は基本深夜から明け方にかけての作業となった。

施工方法についても柔軟にアイデアを出しながら取り組まなければならなかった。構内改良の一環として、在来線ホームの番線確保のために12両対応仮設ホームを一晩で設営する必要に迫られた。
「『貨物列車の台車部分を仮設ホームにしてみてはどうだろう?!』 と考えました。これなら短時間で設営可能です。我ながらグッドアイデアでしたが、図面などで確認するとホームとの高低差があり、『お客さまがつまずいてしまう』と、残念ながら断念することに」
やがて閃いたのは、工事現場の足場などに使う単管パイプを束ね、ベニヤ板に滑らない塗料を塗り、重ねていくというもの。この工法により終電後から始発までの時間で仮設ホームを設営した。
またある時は、線路の切替え工事の施工時間確保に悩んだ。お客さまを乗せる列車の営業が終了した深夜帯でも、貨物列車が運行している。そのため、通常のダイヤでは工事に十分な時間を確保できないのだ。この問題を解決するため、夜間に貨物列車が走らない正月三が日の間、その中でもお客さまへの影響が一番少ない元旦の深夜を選んで実施に及ぶしかなかった。
「本来ならば家族と過ごしたい元旦の深夜、そんな時にも『九州に新幹線を通すのだ』という熱い思いを胸に、一丸となって協力してくれるスタッフ、協力先の方々に感謝し、涙する思いでした」
そして、無事工事完了。明け方の現場には歓声がわき起こっていた。

「開業準備に携わったあの4年間。
新博多駅の中、そして、新幹線と在来線の
ホームをくまなく歩きまわりました。
すり減った靴が、私の勲章です」  -稲吉

PROFILE
稲吉秀亮(いなよしひであき)
施設部保線課 副課長。平成16年から4年間、在来線博多駅構内改良計画および、新幹線高架設計を担当。

現在、博多駅屋上の「つばめの杜ひろば」には、新幹線全線開業に携わった関係者100名の名前を刻むネームプレートがある。そこには稲吉の名前も記されている。
「入社した時に抱いていた、『名前が残るような仕事がしたい』という思いが叶った仕事でした。そのプレートには、新幹線に関わるという責任ある仕事を任せてもらい、やりがいを感じた日々も一緒に刻まれているような気がします。私は現在、再び新幹線の仕事に携わっています。そこで今、改めて感じているのは、JR九州の『施設』の仕事は、建設からメンテナンスまで一元化して関わることが出来る、ということ。自分の仕事として、構造物を一から築き、それを間近に見守っていけるというのは、技術者冥利に尽きる仕事ではないでしょうか。これからも新幹線施設が健やかであるよう、大切に守っていきたいと思います」

STORY03

「お客さまに安全で快適な時間をとどけたい!その一心で、毎日車両と向き合っていました」

  • 河田 真
  • 河田 真
    【運輸】当時:運輸部車両課 新幹線PJ 所属

全線開業一年前の平成22年に新幹線プロジェクトに加わった。この時点では新製車両のデザインや調整は終わっており、河田に任されたのは一年という限られた時間の中で、走行試験や車両搬入を完璧にこなすという、「ミスの許されない」仕事だった。
博多南~新鳥栖間の最急勾配は35%。走行試験では、車両の性能が完全に発揮できているかを確認する。様々な走行パターンを想定した試験を行い、クリアする必要があった。例えば、その区間で車両故障があったという想定で、なんと半分の車両の電源を落として走行した。万が一、片方が壊れても走行維持出来る設計にしていたのだ。
そして、試験は無事成功――。

「何ごとも無かったことに心からホッとしました。『問題なく車両が走り、九州新幹線がきちんとつながれば、九州はひとつにつながり、さらには京阪神、東京へとつながるんだ!』と、大きな責務を果たせた思いでした」
そして、車両基地の移転という一大プロジェクトもこの間に同時進行した。熊本総合車両所(写真)は、全国に5箇所しかない総合車両基地で、鉄道ファンの聖地となっている。
ここで行われた車両搬入は一般の方にもお知らせを出したところ、夜間にも関わらず跨線橋にずらりと人が並び、巨大トレーラーで次々と運び込まれる輝く新製車両を見守ってくださった。九州新幹線に対する地元の方々の期待が直に伝わって来て、ジーンと胸が熱くなった。
一年で達成するには膨大な量のこの仕事を成し遂げることが出来たのは、大らかな河田の気質によっていたともいえる。

仕事の要となるのは「段取り」だった。緻密なスケジュールを立てながら、同時に全体を俯瞰し、作業スタッフへの目配り気配りを忘れない。そして、車両メーカーやJR他社といった、関係先との細かい確認作業を積み上げながら、一日一日の工程を着実にこなしていく。開業前のトラブル対応については、JR東海・東日本・西日本各社の担当者にヒアリングを重ね、シミュレーションを行った。この努力が、先に述べた走行試験の成功にもつながった。
「失敗が許されない」事業の完遂は、多くの人とのコミュニケーションなくしては成しえなかった。河田の「人間が好き」という資質が、技術者としての成果を重ねていった。

「全線開業直前の思い出深い仕事はラッピング車両の製作でした。九州新幹線開業を祝うCM撮影をやりたいんだと、営業部から話がありました。その企画は、地域の方々に沿線で新幹線に向かって手を振ってもらうというもの。撮影のチャンスはたった一度きりでした。その一日のために、車両全体に7色のカラーシートを貼ったんです。宣伝などを担当する営業部の施策を成功させたい、そう思っていました。九州新幹線全線開業という全社を挙げてのプロジェクト。そこには、様々な部署で、様々な社員たちの新幹線にかける“思い”があったんです」
九州新幹線は通常、時速260キロの速さで走行するがCM撮影時は特別に時速30~80キロという低速で走らせた。その日、撮影車両に乗り込んだ河田の目には、初めて見る光景が広がった。線路沿いの広場に、ビルの中に、畑に、山の傾斜にまで、手を振る人々の笑顔が見えた。その笑顔は途切れることがなかった。
文字通り、九州新幹線を待っている人々の「顔」が見えた――。

「“技術”を使って九州がひとつになるお手伝いが出来た。新幹線は九州の鉄道網の幹。
そこには人の思いがめぐっていることを実感できて、幸せでした」-河田

PROFILE
河田 真(かわだまこと)
(株)ケイ・エス・ケイ(出向)新幹線熊本車両事業所 企画統括。平成22年運輸部車両課 新幹線PJにて車両計画・設計を担当。

SCENE 2これからを創るプロフェッショナルたち

平成29年3月に開業6周年を迎える九州新幹線。創成期に尽力した技術者が積み上げてきたものを、
これからどう繋げていくか――。
西九州ルートの開業も待たれる今、新幹線業務に現在携わり、未来を担うプロフェッショナルたちにその意気込みを聞いた。

INTERVIEW01

電気は「見えない」けれど、プロの目で「視て」、お客さまに安全を届けたい。

【電気】
池田貴誉(いけだたかしげ)
熊本新幹線工務所 所長
現在の仕事内容を教えてください。
熊本新幹線工務所 所長として、九州新幹線の全地上設備に関する業務を統括しています。熊本新幹線工務所は電気、施設の両面を管轄しており、新幹線車両への電源供給や安全運行に必要不可欠な信号保安システムなどに関することだけでなく、レールなどの線路設備や駅舎の照明設備などの保全なども総合的に手がけています。
実際に開業してから見えてきた課題はありますか?
新八代~鹿児島中央間の部分開業は平成16年。全線開業は平成23年。前者は開業してから13年、後者は6年が経とうとしています。現在、開業時に鉄道運輸機構が作った設備をそれぞれ引き取り、運営管理・設備の更新工事を行っていますが、つまりそれは、「時が経てば全てが一気に老朽化する」ということ。そういう事態にならないように、設備更新工事の前倒しを計画したり、あるいは機械化により、施工方法の効率化を検討したりするなど、最新テクノロジーも駆使しながら「安全・安心な」新幹線のクオリティーを保っていかなければ、と日々努力しています。
新幹線の仕事において「挑戦」している(または、した)ことは?
挑戦というよりも、使命を感じた仕事ですが、平成28年の熊本地震の際には復旧のために社員一丸となって走り続けました。車両は脱線し、地上設備も新玉名~新八代間で広範囲にわたり被害を受け、熊本地区は水とガスのライフラインも長く停止。通常の生活も困難を極めましたが、「被害を受けた地上設備を一日でも早く復旧させることが使命」と感じ、社員だけでなく、グループ会社や全国の鉄道事業者からの協力を受けながらひたすら復旧作業にあたり、13日間で復旧工事を完了――。「やればできる」という言葉を改めて実感しました。運行再開した新幹線の姿を見た時の思いは、言葉に尽くせません。
九州新幹線の仕事で実現させたい「夢」は?
九州新幹線の「輝き」を保っていきたいですね。そのためには、適時適切に更新工事を行い、より精度の高い検査を続けていきたい。電気というのは「見えない」だけに、地道な作業が必要です。例えば、2万5千ボルトもの電気を安定供給するために、変電所設備の健全度を計測器などによる確認や、新幹線のパンタグラフに直接電気を供給する架線の断線事故を絶対起こさないために、架線のすり減り具合をミリ単位で管理してわずかな変化も見逃さないほどの「感性」も要します。地道ではあるけれど、架線に電気が流れなければ新幹線は走らなくなり、つまりはお客さまに多大なご迷惑をおかけしてしまうのです。電気は新幹線を動かす大きな要のひとつです。「新幹線の保守を任されている」という誇りを胸に、つねに「ワンランク上」の仕事を目指していきたいと思っています。
JR九州の技術分野で働く面白さを教えてください。
九州新幹線・在来線共に、私たち電気に関わる仕事は鉄道事業の「安全」をリードする重要な役割を担っています。最新の鉄道技術により九州の地を列車が走り続けること、それは、ひいては「九州を元気にする」ことにつながると思いますし、責任ある職務を「誇り」を持って遂行していることは、大変ロマンのあることだと感じております。当社には、夢を持って働く挑戦者にチャンスを与えてくれる土壌があります。その自由さの中で、ぜひ「やり遂げた!」という仕事の喜びを実感してほしい。これから入社される皆さんと一緒に、様々なチャレンジが出来ることを楽しみにしています。

INTERVIEW02

線路を愛するという思いで「災害に強い新幹線」、「止まらない新幹線」を創る

【施設/保線】
佐藤 創(さとうはじめ)
新幹線部工務課 課長代理
現在の仕事内容を教えてください。
線路を保守する業務です。線路の保守とは、レールや枕木といった軌道の材料を交換したり新しいものに替えたりすること。地震や台風、降雨降雪などによる災害で列車に支障をきたさないように線路を点検したり、災害が起こったときに安全に早く復旧したりすることです。線路は新幹線が走る土台です。少しの変化も見逃さないよう、気を抜かず業務にあたっています。
実際に開業してから見えてきた課題はありますか?
新幹線は検査基準が厳しく、保守には非常に神経を使います。また、鹿児島中央駅付近では、桜島の灰が降ることがあるというような、九州独特の自然状況もあります。レールに積もった灰を水道水で流して落とすような、地道な作業を要します。それでも徹底しておこなうのは、「お客さまの安全を守る」という思いが常にあるからです。自分が保守している線路を、何万人ものお客さまを乗せて新幹線が何事もなく走っている。この日々の積み重ねにやりがいと喜びを感じています。
新幹線の仕事において「挑戦」している(または、した)ことは?
私にとっての最初の大きなチャレンジは、平成16年の九州新幹線の新八代~鹿児島中央間の部分開業時に、新幹線鉄道事業部に在籍し、開業準備を担当出来たことでした。当時はまだ入社3年目。誰もが新幹線における線路保守の経験がない中で、約1年にわたり軌道に関する検査や保守体制の構築を無我夢中で実施し、開業にこぎつけました。
作業の場として何度も足を運んでいたホームは暗く、誰も居らず、殺風景なものでしたが、開業のその日、そこにはお客さまがあふれていて――。その時が、新幹線が「生きた鉄道」に変わった瞬間でした。お客さまのために「モノ」である新幹線に「命」が吹き込まれた、その感動を、今も鮮明に憶えています。
九州新幹線の仕事で実現させたい「夢」は?
私はずっと保線一筋に働いてきました。今は部下たちを指導する立場にあります。保線の仕事は、時には過酷な状況下でおこなわれます。特に新幹線は線路に立ち入って保守点検できる時間が限られており、新幹線の走っていない深夜帯の4時間ほどしかありません。それでも作業をいとわないのは、やはり「お客さまのため」という思いがあるからです。この線路はお客さまを運んでくれる道であり、お客さまの時間を未来へとつなげる道でもあります。そんな意義のある仕事をきちんと部下に伝え、継承していくことが、今の私にとって大切にしたい夢です。
JR九州の技術分野で働く面白さを教えてください。
入社2年目の時に先輩から言われた言葉が忘れられません。「我々にとっての技術というのは、線路を愛することだ」と、言われました。その言葉はストンと胸に落ち、今も心にあります。
愛があれば仕事が面白くなる―――。自分の線路だと思って、愛情を持つと自分の仕事がグンと面白くなるんです。愛という言葉は少々面はゆいですが、自分の仕事の対象物を愛し、仲間を愛し、協調し合い、思いやることが、やがては自分の目標を大きく進めることになると、私は実体験の中で感じることが出来ました。また、鉄道というのは線路だけがあれば列車が走るものではありません。電気・運輸などの他の技術系社員と目標を同じにして仕事をしています。いろんな系統が関わり合いながら、「安全」という同じ目標を持ってみんなで進んでいける、そんなドラマのある職場は、なかなか無いと思うのです。

INTERVIEW03

新幹線運転士業務の経験を生かして安全走行を支える。

【運輸】
三浦徳彦(みうらのりひこ)
新幹線部企画課 課長代理
現在の仕事内容を教えてください。
新幹線部の企画業務を担当しています。新幹線部には、列車ダイヤや乗務員業務、車両の保守などを担当する「運輸課」と、線路や構造物、電力設備や通信設備の保守管理を行う「工務課」があり、各課が円滑に業務を進めることが出来るように部内の調整をおこなうのが「企画課」の仕事です。部内の舵取り役のような位置づけです。
新幹線の仕事において「挑戦」している(または、した)ことは?
平成16年の、新八代~鹿児島中央間の部分開業に際し、平成15年に西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)に出向して新幹線運転士資格を取得しました。新幹線という、JR九州の中では未知の業務に身を投じることによって、不安と期待でいっぱいの中、「自分たちが礎を築くのだ」という責任感をもって資格取得に臨みました。初めて運転した時の感動は何ものにも代えがたいものがあります。その経験は私の中での原点であり、新幹線に携わる今でも大いに生かされています。
実際に開業してから見えてきた課題はありますか?
全線開業時には新幹線部運輸課に在籍し、主に新幹線を運転する乗務員という“人”を教育する仕事を担当していました。開業のその日、ホームにあふれるお客さまの笑顔を見た時は感慨深いものがありました。と同時に、このお客さまの安全、命を預かっているのだという気持ちをしっかり持っていかなければいけないと、気を引き締めました。列車の乗務員は、お客さまの命を守る最後の要だと思っています。「乗れば安心。新幹線は決った時間に着くし、止まることもない」と思ってくださるお客さまの信頼を、絶対に裏切ってはいけない――それがこれからもずっと続く課題であり、命題です。
鉄道の安全をつくる仕事とは、「無事運行することが当たり前」の世界です。けれどもそれこそがかけがえのないことなのだと、お客さまの命を乗せて走っている列車の運行に携わる「運輸」という仕事であるからこそ、感じます。
九州新幹線の仕事で実現させたい「夢」は?
西九州ルートの開業も控え、夢は広がるばかりです。しかし、今、私自身の仕事は鹿児島ルートの新幹線をしっかりオペレーティングしていくことですので、そちらの業務内容をもっともっと深めていきたい。私たちにとって新幹線は日常の一部ですが、お客さま、特に九州のお客さまにとってはまだまだ特別な乗り物ではないかと思います。九州新幹線がよりお客さまに身近なものとなり、生活の一部となっていくよう、安全・安心で便利な新幹線をつくり、ご利用くださるお客さまの増加につなげたいです。そして、お客さまのおひとりおひとりに「私たちの新幹線」という愛着を持っていただくこと、それがすぐにも叶えたい夢です。
JR九州の技術分野で働く面白さを教えてください。
たとえば運転士の場合、操縦席に座りひたすら安全走行を心がける業務は一見孤独ですが、決して一人ではありません。サポートしてくれる先輩がいて、同僚がいて、苦労を共にしてくれる仲間がいます。当社は特にその風通しがいいように感じます。コンパクトな組織であるがゆえ、運輸に限らず、電気、施設といった、技術の他部門との連携を深めることも出来、そこで得た経験や知識は大きな自信につながります。他系統とのチームワークがあって鉄道が動くということを、身をもって知ることが出来ます。
技術を支える根底に、人間力――平たく言えば「人のよさ」でしょうか、それがあることがJR九州の強みであり、魅力だと思います。

MEMO鉄道の運行における技術系統の関わり

「電気」「施設」「運輸」の3つの技術が列車の安全走行を支えています。
ここでは、それぞれの分野について、その仕事内容を紹介します。

  • 電気
  • 電力
    電力設備の保守・保全
  • 信号通信
    信号通信設備の保守・保全
  • システム
    システム設備の開発・保守
  • 施設
  • 保線/保守土木
    線路設備や土木構造物
    (橋りょう・トンネル・
    ホームなど)の改良・保守
  • 建設土木
    単独立体交差工事や、
    連続立体交差(高架化)工事
    などの土木構造物の建設
  • 建築/機械
     
    駅設備・建物の建設・保守
     
  • 運輸
  • 輸送
    列車ダイヤの計画・
    作成
  • 車両
    新製車両の計画・
    車両メンテナンス
  • 運用
    乗務員・
    車両の運用計画
  • 運行管理
    列車運行の管理・
    指令業務

※所属箇所・職名は2017年1月現在のものです。